【公務員試験】市役所の教養試験・専門試験について -平成30年度からの新タイプも解説-

教養科目
教養科目 専門科目 市役所

市役所試験は、一般的に教養試験、専門試験、適性試験、論文試験・作文試験、人物試験、性格検査などから構成されています。

各試験の詳細な内容について、自治体の受験案内にも記載がなされていないことがあることから、なかなかイメージが湧かないという方がいらっしゃるかと思います。

その点、私も受験生時代に苦労しました。

そこで今回は、教養試験専門試験の内容について詳しくご紹介していきたいと思います。

教養試験は平成30年度に試験タイプがリニューアルされましたので、その点についてもしっかりとご紹介していきます。

市役所の教養試験とは?

教養試験は、基礎能力試験とも呼ばれ、公務員としての基礎的な知識や能力を評価するものです。

①~⑤の5つの選択肢から正解の選択肢を一つ選ぶ択一式です。

この選択問題が40~60問出題されます。

制限時間は、75~120分です。

この教養試験は、ほとんどの市役所で課されています。

(近年、教養試験の代わりに民間企業の就活で使用されるSPIを課す自治体も出てきています。)

教養試験の問題は、「一般知能」と「一般知識」で構成されています。

「一般知能」

〇数的推理

小学校、中学校の算数、数学の問題です。

センターの数学より難易度ははるかに低いといえます。

方程式、不等式、比、割合、速さ、食塩水の濃度、場合の数、確率などの問題が出題されます。

〇判断推理

センターの数学とは少し性質の違う問題です。ただし、センターの数学よりも短期間で解くことができる問題です。

難解な計算はなく、計算量は数的推理よりも少ないです。

発言や条件からの推理、論理、暗号、操作手順などの問題が出題されます。

頭の体操のような問題も多く、解き方のパターンを覚えることが重要です。

〇空間把握

小中学校の図形の問題です。

センター数学の図形問題よりも難易度が低いため、難解な計算をありません。

〇資料解釈

表やグラフからデータを正確に読み取る問題です。

使用する計算は、足し算、引き算、かけ算、割り算のみの小学校の算数です。

センター数学よりもはるかに難易度は低いといえます。

〇文章理解

現代文と英文から構成されています。

問題の内容は、要旨合致、内容合致、空欄補充、文章整序などがあります。

1問1問の出題文の文字数は、センターよりとなく、問われる内容もセンターより簡単です。

さらに明らかにおかしな選択肢が多いため、センター試験の国語よりも解きやすい傾向にあります。

慣れてくると、1問3、4分で解くことができます。

「一般知識」

〇人文科学

日本史

センター日本史よりも簡単であり、マニアックな人物等を問われることはありません。

高校日本史の登場人物では、頻出度がかなり高い人物や事件等が出題されます。

難易度としては、中学の日本史と高校の日本史の中間ぐらいでしょうか。

捨て科目としてはあまりお勧めしません。

世界史

センター世界史よりも簡単であり、マニアックな人物等を問われることはありません。

高校世界史の登場人物では、頻出度がかなり高い人物や事件等が出題されます。

中学の世界史よりは難易度が高く出題範囲も広くなっています。

世界史に関しては、高校世界史の難易度を落としたものと理解していただければ差し支えないでしょう。

地理

高校の地理より問われる内容が易しめです。

そのため、少し対策をすれば、高校で地理を学習していなくても太刀打ちできます。

捨て科目にはあまりオススメをしません。

思想

高校の倫理にあたる科目です。

高校倫理よりもはるかに難易度が低く、学習範囲も狭いため、オススメの科目です。

捨て科目にしてはもったいないといえます。

ただし、出題をしない自治体もありますので注意が必要です。

国家公務員では思想は必ず出題されるため、国家との併願を考えている方は学習をオススメします。

〇自然科学

数学

高校数学から出題されます。センター数学よりも難易度は低いです。

ただ、地方公務員しか出題されないので学習効率は低めです。

国家公務員の試験では出題がないため、国家と併願を考えている方は捨て科目とすることをオススメします。

物理

高校物理よりも難易度が低く簡単です。計算問題もあまり複雑ではありません。

高校時代に物理を学習していた方は、捨て科目にせず勉強してみるのも手です。

化学

高校化学よりも難易度が低く簡単です。

計算問題もあまり複雑ではありません。

簡単な化学式が出題される年もあれば、周期表をもとにした問題が出題される年もあります。

無機からも有機からも出題されるため、中学の内容というよりは高校の内容といえます。

とはいえ、暗記をしていれば即答できる問題もあるため、そのような分野だけ暗記しておくのも良いでしょう。

生物

生物の難易度もセンターと比べて簡単です。

センターの問題よりも浅く問われます。

計算問題もかなり少なく、ほとんど暗記していれば解けるような問題であるため、学習をオススメします。

地学

地学の難易度もセンターと比べて簡単です。

センターの問題よりも浅く問われます。

地理とも内容が少々重複するため、地理を学習される方はセットで学習することをオススメします。

〇社会科学

政治

高校でいうところの公民です。

難易度はセンターとあまり変わりません。

経済

高校でいうところの公民です。

難易度はセンターとあまり変わりません。

法律

高校では学習していない内容です。

大学入試センターでは出題されません。

国際

高校では学習していない内容です。

大学入試センターでは出題されません。

時事問題

高校では学習していない内容です。

大学入試センターでは出題されません。

各日程別で市役所の教養試験における出題科目ついては、下記の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。

【公務員試験】試験科目早読み表 科目選択にもお役立ち!何をどれだけ勉強するべき?
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市役所の専門試験とは?

専門試験の問題は、採用区分別に一般事務、電気、土木などに分かれます。

専門試験の内容は、大学の学部で学習するもので構成されています。

とはいえ、他学部でも勉強をすれば十分高得点を取ることができる内容ですので安心してください。

ここでは、一般的な行政区分についてご紹介します。

一般事務の専門試験の場合、①~⑤の5つの選択肢から正解の選択肢を一つ選ぶ択一式です。

この選択問題が30~50問出題されます。

出題形式は自治体ごとで異なり、「従来タイプ」「6分野型」「8分野型」に分かれます。

出題数40問、解答時間は120分の「従来タイプ」

10分野(50問)出題中6分野(30問)選択解答(解答時間90分)の「6分野型」

10分野(50問)出題中8分野(40問)選択解答(解答時間120分)「8分野型」

「従来タイプ」

政治学、行政学、社会政策、国際関係、憲法、行政法、民法、刑法、労働法、ミクロ経済学・マクロ経済学、財政学、経済政策、経済学史、経済史、経済事情から出題されます。

「6分野型」

①憲法、②行政法、③民法、④ミクロ経済学・マクロ経済学、⑤経済政策・経済事情、⑥財政学・金融論、⑦社会政策、⑧政治学・行政学、⑨国際関係、⑩社会学・教育学の10分野から6分野を選択し回答します。

6分野は試験開始後に選ぶため、試験終了までに6分野の組み合わせを変えることもできます。

「8分野型」

①憲法、②行政法、③民法、④ミクロ経済学・マクロ経済学、⑤経済政策・経済事情、⑥財政学・金融論、⑦社会政策、⑧政治学・行政学、⑨国際関係、⑩社会学・教育学の10分野から8分野を選択し回答します。

8分野は試験開始後に選ぶため、試験終了までに6分野の組み合わせを変えることもできます。

各日程別で市役所の専門試験における出題科目ついては、下記の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。

【公務員試験】試験科目早読み表 科目選択にもお役立ち!何をどれだけ勉強するべき?
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平成30年から試験問題が変わりました!

教養試験の内容をご紹介しましたが、先ほどご紹介したものは、従来型の平成29年までの出題形式です。

B日程市役所やC日程市役所においては、平成30年度から問題がリニューアルされました。

日本人事試験研究センターによると、新たに3つのタイプの試験ができたとのことです。

現在、B日程やC日程の教養試験で問題がリニューアルされ、タイプが3つに分かれています。

①Standard(標準タイプ)

従来出題されていた教養試験と最も似ているタイプです。

一般知能20問、一般知識20問の合計40問からなります。5肢択一式です

変更点としては、時事問題が重視され、古文、思想、文芸、国語は出題されなくなりました。

Standard(標準タイプ)は、さらにStandardーⅠとStandardーⅡに分かれます。

StandardーⅠのほうが難易度が高い大卒程度試験で実施されるもので、StandardーⅡは高卒程度試験のものです。

一般知能(20問)

〇数的処理

数的推理、判断推理、空間把握、資料解釈

〇文章理解

現代文、英文

一般知識(20問)

〇人文科学

日本史、世界史、地理

〇自然科学

数学、物理、化学、生物、地学

〇社会科学

政治、経済 、法律、国際、時事問題

②Logical(知能重視タイプ)

一般知能の比重が高く、比較的論理的思考力などの知能を重視する問題が多めです。

そのため、一般知能27問、一般知識13問の合計40問からなります。5肢択一式です。

変更点としては、時事問題が重視され、古文、思想、文芸、国語、そして自然科学が出題されなくなりました。

Logical(知能重視タイプ)は、さらにLogicalーⅠとLogicalーⅡに分かれます。

LogicalーⅠのほうが難易度が高い大卒程度試験で実施されるもので、LogicalーⅡは高卒程度試験のものです。

一般知能(27問)

〇数的処理

数的推理、判断推理、空間把握、資料解釈

〇文章理解

現代文、英文

一般知識(13問)

〇人文科学

日本史、世界史、地理、思想

〇社会科学

政治、経済 、法律、国際、時事問題

③Light(基礎力タイプ)

Light(基礎力タイプ)は、①Standard(標準タイプ)や②Logical(知能重視タイプ)とは大きく異なります。

まず、Light(基礎力タイプ)高卒程度試験で実施されます。さらに同じ高卒程度試験のStandardーⅡLogicalーⅡよりも簡単です。

そして、問題構成が違います。

「社会への関心と理解」(24問)、「言語的な能力」(18問)、「論理的な思考力」(18問)の3分野の合計60問からなる四肢択一式です。

解答時間は、75分です。

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